川瀬 朋子
Tomoko Kawase
㈱アナザーヒストリー認定プロコーチ ライフデザインコーチ
中小企業診断士
1983年生まれ。千葉県千葉市出身・在住。
大手小売企業に新卒入社し、16年間勤務。途中、出産を2度経験。
これからの仕事や働き方を模索する中、37歳でコーチングと出会い、「人生をかけてやりたいことはこれだ」と直感。世界最高水準のプロコーチ育成スクール(アナザーヒストリー)に入学し、第2子妊娠中に100人コーチングを6か月間で達成。現在、7歳と0歳の二女を育てながらプロコーチとして活動している。
中小企業診断士の国家資格を生かし、組織における人材育成のアプローチも強みとする。
ライフワークは「自分や周りの人が強みを生かして成長し、自分らしくキラキラ輝いて生きることに貢献する」こと。
ロングインタビュー
―コーチングとの出会いを教えてください。
35歳の頃、中小企業診断士の資格をとったのですが、中小企業診断士の先輩の中にプロコーチをやっている方がいて、偶然体験セッションを受けさせていただきました。
その時は「コーチングって聞いたことあるけど、何だろう?」という感じで、全く未知の世界。体験セッションで受けたのが、過去に夢中になった体験から大切な価値観を探し出し、それから将来のビジョンを絵に描くというものでした。記憶の底にしまい込まれていた学生時代の思い出がはっきりと蘇ってきて、「コーチングって何て面白いんだろう!」と感動したのを覚えています。
それが、初めてコーチングと出会った瞬間でした。
―その後、本格的に学び始めるまでに少し時間があったとか。
コーチングはずっと頭の片隅にあって、いつか学びたいと思っていたのですが、実際にスクールを調べてみると受講料がとても高額に感じました。その頃は中小企業診断士の副業に集中していたので、心から学びたい時期が来るのを待とうと思っていました。
将来を模索していた30代半ば
―コーチングを本格的に学ぼうと思ったきっかけは?
実は30代半ばは、自分のこれからのライフスタイルをどうしていこうか悩んでいた時期でした。本業では新規事業開発部門に配属されましたが、めまぐるしいスピード感についていけず、上司や同僚との相性も悪くて、精神的に参ってしまったこともありました。朝「会社に行こう」と思った瞬間に、腰が抜けて床に座り込んでしまったり。「このままではいけない。今の状態から脱出しなくては」と真剣に悩み、もがき苦しんでいました。
そんな中、中小企業診断士の先輩に誘われて『7つの習慣』の勉強会に参加したり、ストレングスファインダーを受けて自分の資質を発見したりと、自分の内面を深堀していったのです。
そのときに「自分や周りの人が、強みをいかして成長し、キラキラ輝きながら生きることに貢献する」ということをライフワークにしようと決めたのです。これからの人生、どのような仕事をしていようと、どんな環境にいようと、私はこれをやり続けるのだと。
そして、そのライフワークを実現するための学びとして最適だったのが、ずっと気になっていたコーチングでした。
―なぜアナザーヒストリーを選んだのでしょうか?
コーチングスクールはたくさん種類があって、しかも受講料がどこも高いので、かなり悩みました。アナザーヒストリーは、私が初めてコーチングを受けた先輩の出身スクールということもあり、最後まで選択肢の1つとして迷いましたが、最終的に決め手になったのが、ライフレベルの高度なスキルを学ぶことができる点と、クラスのメンバーが固定なので同期の仲間ができる点でした。この2つが決め手となり、同校を選びました。
コーチングと出会い、人生が大きく動いた
―コーチングスクールに通ってみて、何が起こりましたか?
仕事でもプライベートでも、すごく変わりました。
まず仕事では、当時一緒に働いていた部下の方が、去年まではなかなか思うように仕事ができず不満を抱えていらっしゃったのですが、コーチング的に「本当はどうなったら最高?」という目的論で関わっていきました。彼女の中に高い成長意欲を感じたので、一緒に勉強会をやったり、こまめにコミュニケーションをとったりして関わったところ、「川瀬さんと働けて最高に充実していました」と感謝してもらえました。
プライベートでは、夫や子供に対するイライラが激減し、ますます仲良しになりました。
何よりも、コーチングを学び、自分もマイコーチからセッションを受けるうちに、「子育て中の親御さんにコーチングを伝えたい」というビジョンが見つかり、将来の方向性が見えたことが、最も大きな収穫でした。
コーチングスクールを作る準備のためにあれこれ動いている私を横目に、夫も自分のビジネス立ち上げに向けて動き始めました。お互いにやりたいことを自由にやり、家族で応援し合っています。
コーチングから離れていた時期
―プロコーチになってからは、どうでしたか?
100人にコーチングをする課題も完了し、プロコーチ認定資格をとってからは、継続クライアントさんに定期的にセッションする活動が主でした。当時は妊娠中だったこともあり、本業の仕事と両立できるペースで体に負担にならないようにコーチ活動を続けていました。
そんな中、妊娠19週で突然出血し、切迫早産で入院することになりました。最初は「すぐに退院できるだろう」と気楽に構えていたのですが、どんどん症状が深刻になってしまって。おなかの赤ちゃんが生き伸びてくれるかどうかの瀬戸際を、薄い氷の上を歩くような毎日を過ごすうちに、精神面も身体面もどん底に落ち込んでしまったのです。
結局、赤ちゃんは無事に産まれてくれましたが、退院後もしばらくはコーチングをやる気になれず、コーチングから離れていました。
―その後、どのように回復していったのでしょうか。
入院の経験があまりにも壮絶だったため、退院後の数カ月間は自分自身をゆっくり見つめなおそうと思い、のんびり過ごしていました。
この時期に、後々考えるとターニングポイントになる出来事がありました。フォーカシング(内面を探索し、心の実感に触れるセラピーの一種)を体験したことです。コーチングの同期でフォーカシングの専門家がいたので、彼女に頼んで体験させてもらいました。
自分の内面をじっくりと感じてみると、「人の良い所を見つけるのが得意で、人の成長に貢献したい」という自分がいて「おかえりなさい、ずっと待っていたよ」と言ってくれたのを感じました。それはおそらく、「コーチとしての自分」だったのでしょう。私が切迫早産で大変な時や、産後にコーチングから離れていた時期も、ずっと私の内面にあり続け、辛抱強く待ち続けていてくれた。感動のあまり、ぼろぼろと涙がこぼれました。
その出来事がきっかけとなり、「自分の中のコーチを一生大切にしていこう」と決意し、「周囲の人が持ち味を生かして成長し、自分らしくキラキラ輝く人生を生きるために貢献していきたい」と、出産前よりも強く願うようになりました。コーチングをライフワークにしようと決めたのです。
人生に最も影響が大きい学びがコーチングだった
―なぜコーチングを教えたいと思ったのですか?
私は学ぶことが好きで、これまでたくさんのことを学び、多くの資格にチャレンジしてきました。例えば、中小企業診断士、販売士、簿記、ビジネス会計検定、フードコーディネーター、ワインエキスパート……。その中でも、自分の生き方に最も大きなインパクトがあったのが、コーチングの学びだったのです。
私は35歳でコーチングと出会い、37歳で本格的に学び始めましたが、もっと早くにコーチングを学んでいたならば、その後の人生もまた違ったものになったのだろうなと思いました。例えば、第1子を妊娠・出産した31歳のとき、私は「せっかく産休・育休でまとまった時間ができたのだから、今後の人生に役立つことを学びたい」と考え、いろいろ検討した上でワインエキスパートを取りました。それはそれで非常に楽しく、人生が豊かになる学びでしたが、もしもコーチングを学んでいたなら、また違った人生になっていたかもしれません。
また、実は最初はコーチングを教えるつもりではなかったのです。子育て中の母親が、忙しい中でも自分自身と向き合い、自己実現に向けて一歩を踏み出すような場を作りたいと考えていました。
でも、受講者の自己実現を叶えるために最善の方法は何だろうと、考えれば考えるほど、「コーチングの知識とスキルを学ぶこと」が最もクリティカルであることに気づきました。コーチングでは、単なる会話のスキル以上に、「コーチの在り方」を重視します。在り方とは、コーチ自身が自分らしくのびのびと生きていて、ありのままの自分を丸ごと受け入れるということです。コーチングを学ぶときは、まずコーチ自身が内面を探求し、ありたい未来のビジョンを描いていくため、自然と自己実現に向かっていく効果があるのです。
最初は、プロコーチになったばかりの自分がコーチングを教えていいのだろうかと、心のブレーキがありました。しかし、コーチングの師匠の宮越大樹さんに「アナザーヒストリーの教えを伝えていいよ」と後押ししてもらったり、心強いコーチ仲間が協力してくれたり、夫が自分の夢を応援してくれたりと、多くの人が支えになってくれて。東大出身で学ぶことが得意な自分の強みも活かしながら、「私なりのやり方でコーチングを伝えていこう」と決心し、ブルーミング・コーチングスクールの開講に踏み切りました。
コーチングの旅のガイドとして
―ブルーミング・コーチングスクールとは、あなたにとって、どんな場所なのでしょうか?
このスクールは、私の夢の始まりの場所です。同時に、これからコーチングを学ぶ人にとってのベースキャンプとして、いつでも安心して頼ることのできる場所でありたいと願っています。
私は、受講生の方は「生徒さん」や「お客様」ではなくて、一緒にコーチングの旅をする仲間だと捉えています。私は一足先に旅を経験しているので、コーチングの旅のガイド役として、一人ひとりがかけがえのない体験をし、素晴らしい景色に出会えるようにサポートしたい。旅仲間同士、気の置けないヨコの関係で勇気づけあえるチームにしていきたいです。
―今後の展望を教えてください。
繰り返しになりますが、私のライフワークは「自分や周りの人が、強みをいかして成長し、キラキラ輝きながら生きることに貢献する」ということです。そのライフワークを人生が終わるまでずっと実践していきたいので、コーチングはずっとやり続け、伝え続けていきたい。地元の千葉で無料セミナーを行うなど、社会貢献活動も続けていきます。
まだ準備中ですが、スクールでは子育て中のパパママ向けコースや、これから親になるプレママ・プレパパコースも作っていきたい。また、自分が年齢を重ねるにつれ、ライフステージに合わせてコーチングを伝える人たちも変化していくことでしょう。例えば、更年期の女性や、終活を考えるシニア向けに、コーチングを伝えていくのかもしれません。
どのような形であれ、コーチングは自分のペースで、長く続けていきたい。自分の心と一致しながら、得意なコーチングで周りの人に貢献し続けていきたいです。
妄想なのですが、最高の未来のビジョンでは、自分らしくキラキラと輝く人の輪が広がっていき、全ての子供は可愛がられて大切にされながら育ち、意見が違っても暴力に頼ることなく、話し合いで解決できることの素晴らしさを実感している人がどんどん増えていき……そして究極は、世界平和につながると最高だなと思っています。